「自己破産」に関するお役立ち情報
親と同居されている方の自己破産
1 自己破産は同居している親へ事実上の影響を及ぼすことがあります
自己破産は、申立人である債務者本人の財産の換価、および債務の返済責任を免除してもらう手続きですので、基本的には同居している親に法的な影響は及びません。
たとえ親と同じ住所に住んでいても、自己破産によって親の財産や身分関係に直接的な不利益が生じることは通常ないと考えられます。
なお、同居の有無にかかわらず、親が債務者の方の保証人になっている場合には、自己破産に伴って、親に残債務の一括支払いを求める請求がなされることが多いです。
自己破産の申立て準備や、手続きにおいては、同居している親に間接的な影響が生じることはあります。
例えば、裁判所や破産管財人に、債務者の収支や財産状況に関する詳細を提供する必要があります。
その過程で、同居している親との生活実態や金銭のやり取り、財産の共有状況などが問われる可能性があります。
また、親との共有財産や、共用している財産を保有している場合、自己破産手続きによって換価されてしまうと親の生活にも不便が生じることがあります。
以下、これらの影響について詳しく説明します。
2 親と生計が同一である場合
自己破産の申立ての際には、債務者の方の家計表を提出する必要があります。
住居費や食費、水道光熱費などの生活費の一部を親が負担しているなど、同一の家計で暮らしている場合には、親の協力を得る必要があります。
具体的には、親の収入に関する資料(給与明細や、給与が振り込まれている預貯金口座の通帳の写しなど)、親が負担している生活費に関する資料(公共料金の引き落とし履歴がある預貯金口座の通帳の写しなど)の提供を受けなければならないことがあります。
なお、自己破産の際に見られるのは、あくまでも債務者の方の返済能力(収入、支出、財産等)ですので、通常は親の収入の高低は自己破産の可否には影響しないと考えられます。
3 親との共有財産がある場合、共用の財産を所有している場合
自己破産では、債務者の方が一定の評価額を超える財産を保有している場合、原則的には換価されて債権者への支払い等に充てられます。
その際、同居する親と共有している財産があると親の生活に影響が及ぶことがあります。
例えば、自宅が親子の共有名義となっている場合には、債務者の方の持分が処分の対象になる可能性があります。
現実的には、親の持ち分も合わせて売却しなければならないことがあります。
また、保有している自動車を親も使用しているという場合、自動車が換価されてしまうと、親も移動手段を失うことになります。